2007年06月08日

スウェーデンとフィンランドはNATOに加盟するか

 ロシアの対欧米外交が強硬なものになっている昨今だが、その影響は様々な所に出ている。ミサイル防衛の件もそうであるが、スウェーデンとフィンランドのNATO加盟の噂が流れているようだ。もちろん両国とも公式なコメントは出していない。しかし水面下で様々な模索がされていることは間違いないだろう。

 言うまでもなく両国の事情は少々違う。歴史的にも中立政策を維持してきたスウェーデンとソ連・ロシアに気を遣わねばならなかったフィンランドでは選択肢も異なる。これまでの経緯としては、珍しく面白い内容が日本語のみで記されているWikipediaのものが参考になる。(参照1)ちょっと演出的過ぎるが北欧各国の立場を分かりやすく示している。どの国もそれぞれの事情で必死だったというわけだ。特にデンマークは実に興味深い外交大国なのだがここでは省略する。ちなみに米国は冷戦期に中立国にはかなり一線を引いて外交関係を結んでいたようだ。意外にも経済面での情報が遮断されていたらしい。確かにスイスやスウェーデンなど、中立国は経済が停滞していた印象はあるのだが。ノルウェーの一人当たりGDPが高すぎるのは別の理由としても。(今に至ってもEUに入らないはずである)

 ところで今回の噂は、5月にバルト海で実施されたNATOの演習が直接の契機である。これに関しては興味深いブログがあるので紹介させていただく。(参照2)またどういう事情か不明だが人民日報サイトではフィンランドの参加も明記されている。(参照3)その一方で一般的な民主主義国のメディアでこの件はひっかからないのが不思議だが。

 スウェーデンに関しては、上記ブログでも記載されているように安全保障に関する考え方が政党によって違う。今は以前のエントリでも記したように右派政権となっているが、こっそりと事実を積み上げて追認させる政治手法は日本とかぶる部分もある。自国単独での武器開発はとにかく高コストという事もあるだろう。近年の近代兵器の価格や技術水準を考慮するとそれだけでもNATOとの連携は必要だ。

 フィンランドとなると、軍事的リソースもそれなりに有するスウェーデンと比較してよりデリケートな対応が必要とされる。先日のエストニアへのロシアのサイバー攻撃も我々が思うよりフィンランドを刺激しているようだ。この両国はいずれもサンクトペテルブルクが至近距離にある事でロシア側が過敏に反応する傾向がある。そのため冷戦後の外交も注意深い。NATOへの加盟は表明せず、経済の繋がりという名目でEUに加盟している。しかしフィンランドはEUに安全保障に関する役割もあると考え、EU独自の動きとして陸軍6万人規模の緊急展開部隊(RRF)(参考:参照4)を創設するや、早速それには積極的に参加し、自国への受け入れも容認するとしている。というよりそれが目的であろう。なおRRFへの参加はスウェーデンも表明している。

 北欧諸国は小国が多いが政治的な稚拙さとは無縁なのでそれなりに切り抜けるのだろう。日本もNATOとの連携を模索しているようだが、これこのように相当の思惑が周辺で錯綜している組織に、日本やオーストラリアのように直球好きな国柄が参入するとかなりの迷惑を振りまくこともあるのだろうと思うが、どうだろうか。
posted by カワセミ at 02:53| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ・欧州・ロシア
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