2007年06月06日

EU憲法は復活するか

 サミット開催が報じられているが、現在の欧州はEU憲法に関する討論が主要な政治課題となっている。新たに就任したサルコジ仏大統領は精力的であり、縮小された規模でのEU憲法を模索しているようだ。日本でも報道はされている。(参照1)

 このEU憲法であるが、憲法と名付けられてはいるものの多分に象徴的な表現である。これに関してはBBCの記事が簡潔に現状を表現している。英国の冷淡さを反映してはいるが、かといって別に嘘を書いているわけでもないあたりに苦笑する。(参照2)その他各項目に簡単に言及しているこちらも分かりやすい。(参照3)一部引用する。

The procedures by which laws are passed have not fundamentally changed. Laws will still be proposed by the executive body, the Commission, and agreed jointly by member states in the Council of Ministers and the European Parliament. EU law is supreme in those areas where it has the right to legislate, but that has always been the case. If the procedure allows for a majority vote, it is possible, likely even, that a member state will be outvoted and in that case the EU law will be imposed on it. That already happens. The constitution means that it might happen more often.


 むしろ今までのマーストリヒト、ニース条約に近い性質をこのEU憲法は持っている。政治的宣伝の手法としては時期尚早に過ぎたかもしれない。ただ、ここでの記事で表現されている事実は現時点のものであって、一度構造を作ると時間の経過で実質的な機能が発展していくということはある話だ。

 争点になりやすいのは、現状各加盟国の国数と人口比の双方の二重多数決の部分であるが、これはオランダあたりを刺激するとはいうものの、落とし所を探るのはEU諸国の伝統からして難しくもないと思われる。予想以上に揉めたのは前文などで、こちらの記事(参照4)でも記述されているが、神への言及をどうするかなどでポーランドとフランスが対立したりとか、面倒な事態はあったようだ。とはいうものの、不要な対立を招く部分の常として削除されるようではある。その他名称にまつわる話とか、つくづく思想や主権にまつわる部分は議論の対象になるものだと感じる。

 サルコジ大統領の活動は活発なようだ。各国首脳との会談を次々に行い。合意可能な範囲でのミニ憲法を作成、批准することを目指している。ビジネスでも何でもそうだが、実行力のある人物は中間目標の設定に長けているものだ。欧州の行動主義者の代表はブレア氏からサルコジ氏に移るのだろうか。フランスがサルコジ氏を必要としたのは、実は政策というよりこの活力そのものであったような気がしてならない。国民を鼓舞するだけのリーダーでもそれが切実に必要な事はある。もちろん政策が正しく効率的であるに越したことはないが。

 現在はハイレベルチームが新たな草案の作成にかかっており、まだ議論の段階で一般への公開もまだのようだ。(参照5)直接の要素ではないが、サルコジ氏がトルコ加盟への反対を重ねて表明しているのは草案への合意可能性を高めるだろう。実質的に機能することを重視するという態度は一貫している。

 ただでさえ更新の少ないブログであるが、何となく書けなくなって時間が過ぎてしまった。メモ程度でも残しておくべきだったかもしれない。ただ、それこそ数行書いて終わりか半年は調べ上げないと何も書けないか、というのが世界情勢を語る上ではありがちな事で、こうなるのもおかしくはないかなと思いもする。
posted by カワセミ at 03:05| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ・欧州・ロシア
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/4268072

この記事へのトラックバック