2007年04月29日

リベリアの政情は安定したのか

 本ブログに関して、個人的な友人に対してはあまり知らせていないのだが、昨日の会話で2名程度の読者は増えることになるかもしれない。まぁ、本人に知らせるちょっとした業務連絡である。なお今回のエントリはそれを受けたものでもない。別に更新が急いで必要なわけでもないし、たまには前向きな話題も書きたいと思っただけである。このリベリアにまつわる話は以前の経緯が陰惨なものであっただけになおさらである。

 安全保障理事会は、4月27日にリベリアのダイヤモンド輸出を解禁する決定をした事が報じられている(参照1)いわゆる「ブラッド・ダイヤモンド」問題は映画の影響もあって国際的にも批判されていた。通常の一次産品(例えば原油が典型)と比較して、商品に至るまでの生産設備の問題が少ないことは、むしろ外国勢力による利権の問題を少なくさせた。正確に言うと政治的障害となる構造ではなかったというところか。いずれにせよこの問題での禁輸はそれなりに機能していたのだろう。出自が価値の一つとなる商品であったのは幸いというべきか。またあまり報じられてないようであるが、昨年時点で木材輸出などに関しては先行する形で認められている。

 例によってリベリアの基本情報を外務省サイトからリンクしておく。(参照2)若干情報が少ないのは残念であるので、手軽に参照可能なものとしてWikipediaのリンクも準備しておく。(参照3)この国は歴史的経緯を簡単にでも押さえておくべきである。いわゆる移民出身の「アメリコ・ライべリアン」が主導的な役割を担っていた事に注意すべきであろう。国旗にもその影響が示されている。私も当時の国際政治の雰囲気に詳しいわけではないのだが、かつてのリベリアはアフリカの中でも最も先進的な地域として国際社会から高い評価を得ていたという印象がある。特に70年代あたりはそうだったのではないか。中高校の教科書レベルでも船舶の登録数が屈指などという記述もあったようだ。ただ遠隔地の外国に起源をもつ少数支配という意味で当時の南アフリカ共和国と共通するような面もある。もちろん南アはシステムを固め過ぎていたので目立つという面はあった。しかし肌の色などは無関係であると言えるのだろうし、国際社会の評価は極端に違ったと思わざるを得ない。

 いずれにせよ、それなりの国際的評価があった時代と比較し、その後発生した内戦は悲惨で、少年兵・性的奴隷・民間人の虐待など陰惨を極める。上でやや批判したが相対的な人道性という意味で一定の現実解がそれまでにあった事は認めざるを得ないような事態だった。当時の国際社会の反応も鈍いものであったが。

 現在のサーリーフ大統領は、アフリカ初の女性大統領という事でニュース性もあったのか、各国からの就任式への参加も多かった。ただ米国はかなりリベリア和平を重視しており、この時もライス国務長官、ローラ大統領夫人が出席していた。経済畑で実務に強く、かつ強固な信念を持つ指導者として評価は高いようだ。米国のサポートを得られたという点も大きいのであろう。この付近(参照4)を読むとライス国務長官との相性も良かったのかなと思わなくもないが。一部引用する。

Liberia. What a promising future Liberia now has under the excellent leadership of Ellen Sirleaf Johnson, amazing possibilities there because the United States, with our African colleagues, insisted on Charles Taylor leaving and being brought to justice. And then it's maybe not remembered that the Marines actually secured the airport and the seaport to give a possibility for an end to that civil war, then a transitional government, and then the election of this fine president. And I was just at a conference in which we have pledged significant funding to Liberia, including debt relief, that the United States will lead. We were also active in ending the conflict in the DROC.



 問題は山積しているが、まずは前進していると言えるのであろう。
posted by カワセミ at 01:48| Comment(4) | TrackBack(0) | サハラ以南アフリカ
この記事へのコメント
例えば、建築におけるボザール様式(アメリカン・ボザール)の伝統が思想とともに株分けされてきたような土地には、
義理を重んじるきらいがありますね、アメリカは。

そういえば、ボザール様式の枠組を「歴史主義建築」というのですが、これはモダニストに折衷様式とくさされたものでもありました。

「歴史主義建築という言葉はイギリスの建築史家ニコラス・ペブスナーによるもので、モダニズムの観点から見た19世紀建築に対する蔑称である。モダニズムの立場で歴史主義建築の時代を見れば、過去の様式にとらわれ、理念を失い混沌とした百鬼夜行の世界とも見られよう」

以上はWikipedia「歴史主義建築」の項からの引用ですが、
何か、干渉の序列ははたしてどのように決まっているのだろうか?と遠くを見つめたい気持ちになります。いや、無論アメリカのことを言っている文章ではないんでしょうけど(そこは友邦か、帝国なのか? と)。
Posted by 魚服記 at 2007年05月01日 15:33
>魚服記様
干渉の序列は、原則はあるにせよ、正直米国人の気分で決まるんじゃないでしょうか(苦笑)
米国内の人間が出身や文化的源流となった国に対して有している紐帯は日本人からはなかなか分かりませんね。ある人物が国内で名声を得れば、ある地域に関心が集まるとか平気でありますからね。不思議なことに黒人層のアフリカに対する郷愁というのだけが全然無いらしいのですが。完全に切れているに近いようです。ですので、あの地域に関しては今まで関心が非常に低かっただけに、相対的に少しの関与でも大きく興味を示しているように見えるのでしょう。つぎ込むリソース自体はあんまり多いというわけでも無いみたいですね。軍事面ではアフリカ向けの軍編成をしたりとかありますけども。
Posted by カワセミ at 2007年05月04日 03:14
1989年から続いた内戦及び政情不安状態が終結し、新たにサーリーフ女史が大統領(大統領選挙で同国民的英雄ジョージ・ウェアを抑えて)に就任し、新たなスタートを切ったリベリアですが、うまくいくのかは甚だ疑問です。

 リベリアに限らずアフリカは政情が不安定な国が多くあり、いつ内戦がまた起こるかわからない状態であります。
 ザイール時代も含め長く内戦や政情不安が続き、昨年にようやく同国初の民主的な選挙が行われたコンゴ民主共和国やルワンダ同様フツとツチの対立が悲劇を起こしたブルンジ、ダイヤを巡る対立から内戦が起こり、手足を切断するなど残虐な行為が国際社会に大きくクローズアップされたシエラレオネなどきりがありません。

 アメリカが仲介役を買ってますが、逆に内戦を引き起こしたテーラー元大統領の身柄引渡しも新生リベリア政府に要求するでしょうか?現にテーラーは人道に対する罪で起訴されてますが。
 リベリアに限らず、アフリカは一部でいつまた政情不安や内戦、最悪無政府状態が起こるかわからないですね。それに対し日本に何が出来るのかもわかりませんが。
Posted by ハイタカ at 2007年05月21日 13:17
すっかりエントリの更新が滞っているカワセミです。
どうにも数行程度のコメントしか思いつかなかったり、書く価値があるとは全く思えなかったりするものばかりです。(まぁ、今までのエントリも価値があるかは怪しいところですが)

リベリアの件ですけれども、ハイタカさんの文章を読んで、この地に期待できる水準自体がそもそも論点になるかなという点を改めて感じました。もちろんリベリアに限らない件ではあります。サハラ以南アフリカでは一部の国を除き軍と官僚の双方が一応の機能を果たさないとならないのですが、権力が充分に集中せず国内で対立が起こる事例が多すぎます。その意味で比較的小規模な国家のほうが相対的に統治しやすいのですが、場合によってはその条件を満たす西アフリカ地域などは地域間の交流が多いことが裏目に出る形で不幸な事態を招いています。
現実に権力のある有力者を議会政治などに取り込むような試みが必要なのでしょうが、それに関する適切な政治手法は地域ごとの違いが大きすぎて、国際社会も手に余るといったところでしょうか。現在安定した社会を築いているいわゆる先進国といわれる国々は、一定の秩序社会を有している故にそれを人為的に設定するための手法には長けていないのかもしれませんね。その意味で中国やロシアなどがもう少し開明的な政治になり、国際社会に貢献する方向に向けば、その歴史的経験が役に立つ時もあろうかと思うのですが。それはあるとしても少々先のことになりそうです。
Posted by カワセミ at 2007年05月25日 01:13
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