2007年01月13日

米軍の規模、再拡大へ

 明けましておめでとうございます、というのも遅いくらいまたまた間を空けてしまった。ロシア絡みとか、微妙に言いたい事は色々あるのだが今ひとつ考えがまとまらない。ちょうどというか、エレニさん所で会話していたのだが、彼女もこの地域に関しては同じような感覚があったのかもしれない。ロシア含む欧州は日本人の腹芸にも似た側面があったりするので日本人もそれなりの知識人が丁寧に取材すれば分かるはずなのだが。

 ブッシュのイラク新戦略に関しては様々な論者がコメントしているし、溜池通信殿でも取り扱っているので私が加えるような事などは無い。国内マスコミでの報道は、一時的な増派の部分を放置して報道してきたツケが回ってきた形だがもはやいつもの事でもありどうでもいいように思う。

 むしろそれに関連して、米軍の規模そのものを拡大するというニュースがあり、そっちの方に興味を惹かれた。国防総省としてはこのように発表している。恒久的に陸軍と海兵隊双方を増やすというのだ。特に後者はかなり野心的という印象がある。とはいえ、元々クリントン政権時に米軍の規模は大きく削減されており、それを少々元に戻しただけという見方はあろう。しかしその間にRMAはかなり進行しており、戦力自体は強化されている。結局RMA信奉者のラムズフェルド氏の辞任は米軍再拡大を意味したのだが、そういう解釈は早期からされても良かったかもしれない。

 この決定に関してはもう少し細かい報道もある。(参照)軍事的見地から持続可能な方策としてのルール変更であったようだ。一部引用する。

But Pentagon rules limited those troops to no more than 24 months of active-duty service every five years. Part-time soldiers who had been to Iraq once could be sent back only if they volunteered.

The result is that only about 10 percent of the 522,000 soldiers in the Army National Guard and Army Reserve are available for service, and more than half of the units that deploy now have to rely on volunteers from other states in order to fill their ranks, military officials say.

 9.11直後のアフガンへの対応時から問題点は指摘されていた。今回の決定はイラクへの対応のための直接的な政策というより、もう少し狭い地域での小規模な制圧作戦を長い時間持続的に続けるためのものという事であろう。近未来の風景となれば、イスラエルを抑えるためにレバノンの一部地域で展開とか、まぁあくまで例だが、要所に当たるポイントでの活動を順に積み重ね、何十年もしたら広い地域がそれなりに民主化していたというような構想をしているのかもしれない。イラクへの増派も米軍の規模拡大も、今回は新国防長官が軍の意向を汲んで、というプロセスを辿っているので民主党の反対も通らないであろう。なまじ占領統治の技術を上げてしまうとまた世界は悩むことになりそうだが。
posted by カワセミ at 03:17| Comment(6) | TrackBack(3) | 米国
この記事へのコメント
機を逸した観もありますが、先年の記事に新年の礼回りというのも、不躾かと思いまして……

あけましておめでとうございます。本年も宜しく御教授いただけますよう。

>恒久的に陸軍と海兵隊双方を増やすというのだ。特に後者はかなり野心的という印象がある。とはいえ、元々クリントン政権時に米軍の規模は大きく削減されており、それを少々元に戻しただけという見方はあろう。しかしその間にRMAはかなり進行しており、戦力自体は強化されている。結局RMA信奉者のラムズフェルド氏の辞任は米軍再拡大を意味したのだが、そういう解釈は早期からされても良かったかもしれない。

特に最近ということもないのでしょうが、軍需に関しては、ますます「規格」の確立と外注生産拠点への「委託」が進められていると聞きます。
私見では、RMAは特殊な占有装備ありきの戦略「ユニット」だと思っていたのですが、今後の再拡大において用兵構想は「ありき」の部分を変えてくるのでしょうか?
Posted by 魚服記 at 2007年01月13日 15:39
カワセミさま

イラクの新戦略、私も出る幕がなかったのですが。。。一応、軽くエントリしておきました。

そもそも、ラムズフェルド元国防長官は、理論派で、コリン・パウエル氏や統合参謀本部議長などとは、常に確執がありましたね。もちろん、軍のトップともです。エアーパワーや、スペースパワーが主力になっても、今回のイラクのように、市街戦などになると、軍人が最も有効なわけで、米軍再編に伴う能力ベースアプローチには、人員が不可欠です。
まあ、ネオコンと称される人達も、軍の拡大を唱えてましたが。。。


話はかわりますが、随分、エレニさんの所では、和んでましたね。
そういう場所を持つことは、大切ですね。
私も、ココログに移ってからは、少しづつですが、政治ネタだけでない、くだらない話題もエントリするようにしてますが、恐らく、求められてないでしょうが・・・w
Posted by forrestal at 2007年01月14日 21:48
相変わらずリプライ遅れてます。申し訳ない。
ネットの世界では結構忙しそうな人でも反応速かったりするのですが。

>魚服記様
こちらこそ宜しくご教授いただければと思います。

>軍需に関しては、ますます「規格」の確立
それ自体は基本的に変わらないと思います。今回はむしろ国内的な要因で、州兵などとの関係で調整するという事でしょう。兵士のストレスなどに関する医学的な調査も進められており、長期間の派遣は問題を残すような結果が出ていたと思います。米軍の伝統として、メンタル面の重視がありますが今回もその側面は大きいでしょう。また軍事的経験を無駄にする国でもないですしね。もっとも中東のイラク周辺諸国で問題が発生するとまた数に関しては読み違えとなるかもしれませんが。

民間軍事会社への外注などはまだまだポイント的にしか使えないという事でしょうか。政治的な注目度が低いので議論が盛り上がらず、かつその負担に関して議会の承認を取り辛いが、何かをやらねばならないときには割と使われるかもしれませんね。ダルフールのように道義性の勘定が合いそうならなおさら。もっとも別の様々な理由で出来ないという事はありますけど。

>forrestal様
いやいや、特に和んでいるってわけではなくまぁ自然ですよ。ここで立てるエントリは過剰に冷静に解釈されているのかもしれませんね。
イラクですが、警察と軍隊の中間的な存在は日本人になかなかピンと来ない面があるようですね。軍隊のポジティブな面に関する歴史的記憶が薄いという点もあるでしょう。地震で略奪が発生しない秩序社会は誇るべきですが、反面世界の現状に対して浮世離れしてしまいますね。多くの日本人がそう感じることは自然ではあるのですが。
Posted by カワセミ at 2007年01月18日 01:36
米軍拡大についてですが,基本な線は代わらないのかな,と思いますよん.

アメリカは,その手が届く範囲において,紛争を小規模なうちに介入し,大規模なソレになることを予防することを目指していますよ.
それはSBCTをみればわかりやすいでしょう.

歩兵に対し,その身を,人間が生身で運搬できる機関銃から守ることのできる防護(軽量の装甲付輸送車)を提供する一方で,その重さを空輸可能なレベルに抑える.
それを見れば,彼らが何をしたいのかわかるというものでしょう.

RMAについては,大規模な正規戦において能力を発揮できるであろうもの(個人的には,イラク戦でその能力を発揮したというのは眉唾ではないか,と思っていたり)です.あくまで,戦力倍増要素,でしょうか.

今回の増員については,結局土地を占拠するには人間が必要だということなんだろうと思いまつ.
Posted by おきゅきゅきゅきゅ〜 at 2007年01月26日 21:02
書き落としましたが,介入例になりそうな事例があるとするならば,過去,クリントン政権期のソマリアや,今回エチオピアが介入した(アメリカもエチオピア側に立って援助しているというヨタのある)ダルフール問題などでしょう.
Posted by おきゅきゅきゅきゅ〜 at 2007年01月26日 21:14
アフリカはかなり念頭にあるかもしれませんね。
今までは介入の価値なしと判断していた節がありますがフランスに近いような介入の仕方で、もう少し効果的で効率のよいやり方を模索しているかも。

直接的には、何か作戦をやっているときに別に動かせる余裕を作っておくことが目的ではありますね。今はイラクで足を取られ別の作戦が出来ないと足下を見られてしまってますね。
Posted by カワセミ at 2007年01月29日 23:24
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