2006年12月16日

スーダン情勢に関する観察(4)及び中央アフリカへの波及

 既に多くの人が取り上げているのだろうし、ここで私が付け加える意味がそれほど無いのかもしれないが、やはりエントリはしておきたい。ダルフールの紛争が、スーダンのみならず周辺諸国に拡大している。深刻な問題であるにもかかわらず、日本ではあまりにも取り扱われないニュースだ。大手マスコミでは日経のこれ「だけ」ではないかという印象がある。(参照1)検索してもろくにヒットしない有様だ。
 チャドへの波及に関しては以前のエントリでも取り扱ったが、ニュースの通り現在も事態が沈静化しているわけではない。ここ最近はそれに加え中央アフリカ共和国(略称CAR)への波及も問題視されている。

 このCARに関して少し補足しておきたい。例によって外務省サイトをリンクしておく。(参照2)ここはチャドと同様旧フランス植民地であり、現在でも影響力が強い。同国ではボカサが皇帝を称した事があり、現代史としては時代錯誤なエピソードとして比較的有名だ。経済的には世界の最貧国であり、そのせいもあって政情不安は続いてきた地域だ。しかし、近年は比較的公正と見られる選挙も実施され、国際社会の評価も徐々に高まっているようだ。人口構成としては、やはり旧フランス植民地の影響からかキリスト教徒がかなり多くの割合を占めている。そしてスーダンに近い北部地域は当然イスラム勢力の影響が強いわけで、伝統的に反政府勢力が生まれやすい地域でもある。無論それだけの単純な問題でもなく、途上国一般にある治安の力学を考えねばならないだろう。人権の状況については、Freedom Houseのこの国に関する記述をリンクしておく。(参照3)本文を読むと絶対的な評価は高くないが、個人的にはむしろ地域の現状を考えると相当まともな部類の政治ではないかという印象を受けた。他の各種ニュースソースでの印象でも、国の北部などを除けば何とか良い方向に機能してきているのではないか。そしてODAがそもそもまともに実行可能かどうかというのが、こういう経済的に厳しい地域の基準となるようにも思うが、皆さんはどう思うだろうか。ただ、政府が反政府勢力とみなす人々への人権侵害の報告はあり、そして無実の人々との精密な区別がされていない事も容易に想像出来る。状況も混沌としているのは間違いなく、国際的にも例えばこのような記事(参照4)で報道されてはいる。ただ、それでも安定との兼ね合いで評価は難しかろう。

 さて、ダルフールに関連する国際的な関心となると、アナン氏の言及もあり多少最近は増えてきているようではある。米国での扱われ方も微妙に違うのか、例えばワシントンポストの最新のコラム、引用する最後の段落では妙に強い表現だ。(参照5)

This crisis isn't going to fix itself. Sudan's President Omar Hassan al-Bashir rivals Iran's leader in genocide denial: He recently accused aid workers of exaggerating Darfur's crisis to preserve their jobs. Doesn't China feel qualms about propping up this ogre? Perhaps Treasury Secretary Henry M. Paulson Jr., who is in China along with a team of Cabinet officials and the Fed chairman today and tomorrow, might trouble to ask that question.


中間選挙後のある種のムードの変化かもしれない。ただ当面の動きとしては、ICCの正式な訴追が重要であろう。様々なニュースソースが出ているが、その一つをリンクし、一部引用しておく。(参照6)

In a report to council members ahead of his address to the 15-member body today, prosecutor Luis Moreno-Ocampo said his office was preparing submissions for arrest warrants to judges of the ICC's pretrial chamber.

"We are planning to complete this work no later than February," Mr Moreno-Ocampo, an Argentine, said in the report, obtained by Reuters.

Actress Angelina Jolie, who has visited Darfur three times and is a goodwill ambassador for the UN refugee agency, welcomed the prospect of indictments, by the court, the world's first permanent criminal tribunal.


 継続的に取り組んでいる熱心な人が証拠を挙げたというのが重要なのだが、これも各種ニュースソースを見て私は妙な感覚を持った。「条件が揃えば告発が可能になる」のを訴追に消極的な人々が容認する、と解釈できるように感じたのだ。根拠はと聞かれても難しいのだが、何か潮目のようなものが来ているかもしれない。しかしこの種の国際政治はタイミングが全てであるのも事実で、チャンスは消え去るかもしれない。少なくとも対中国の部分となればどうしても欧米の世論頼みとなるのは仕方の無いところで、来年初頭にかけて注力するのは意味があるかもしれない。この問題に持続的に関心を寄せている人がむしろ疲れ果てていて、それを感じ取れないという事もままある話だ。それはこの問題に限らず、例えば日本だと拉致問題とかもそうなのだろう。
posted by カワセミ at 01:05| Comment(5) | TrackBack(1) | サハラ以南アフリカ
この記事へのコメント
カワセミの世界情勢ブログ管理人様

初めまして。OLGAブログスタッフの高橋と申します。
この度は相互リンクをお願いしたくご連絡致しました。
当サイトからは携帯ページ
http://blog.olga.to/v/link1

にてリンク設置済みです。
以下が当サイト情報となります。

サイト名:OLGAブログ
URL:http://blog.olga.to/
連絡先:web@insider.cc

また、相互リンクを募集されていない場合は、お手数ですが
ご一報頂けると嬉しく思います。

宜しくお願い致します。
Posted by 高橋 at 2006年12月18日 10:26
高橋様、リンク有難うございます。
当方で貴サイトは確認できない状況ですが、当サイトは基本的にリンクフリーです。以前ココログを使用していた際はプロフィールページに記載しておりましたが、良く考えたら今は書いている欄がありませんでしたね。ここでのコメントで仮のものとしておきます。>閲覧者の皆様

相互リンクですが、私自身ほとんど人のブログを見て回らないのでそれほどリンクを増やそうとも思っておりません。むしろ各種公式サイトのリンクを増やそうかと思っているのですが、それすら進んでおりません。もちろん価値の高いブログは世の中に多数あることは良く知ってはおりますが、リンク切れすら分からないという状況になりそうなので・・・・・
一方通行のような形になってしまい申し訳ありませんが、そのような考えでおりますので宜しくお願いいたします。
Posted by カワセミ at 2006年12月18日 23:25
全然関係ないんですが、ロイターがアフリカニュース部門を強化したみたいです
http://africa.reuters.com/

ネタ元はGVOというblogニュースアグリゲーションです。
http://www.globalvoicesonline.org/

いちおご参考に

(その他については拙blogでまとめてみました)
http://muse-a-muse.seesaa.net/article/35198791.html

Posted by m_um_u at 2007年03月04日 16:12
コメント有難うございます。

これはいい感じですね。今まではフランス語でしか手に入らない種類のニュースとかも入手できるようになるといいのですが。

他にも興味を惹かれることがありましたらお気軽にコメントをお寄せ下さい。
Posted by カワセミ at 2007年03月04日 21:48
もうちょっとなんかないかなと思ってColumbia Journalism Reviewのリンクから潜ってみたんですが、やはりアフリカは難しいですね。

AFPがRSS出してるくらいな感じです
http://www.afp.com/english/home/

http://www.afp.com/english/rss/stories.xml

国際ニュースのリンクがあったのでいちお貼っておきます
http://www.americanpressinstitute.org/pages/toolbox/global_journalism/global_journalism_1/

Posted by m_um_u at 2007年03月06日 12:59
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アメリカ 「アフリカ軍」の新設
Excerpt: ■国務省内の再編に次いで、国防総省(ペンタゴン)でも、再編である。ブッシュ大統領
Weblog: forrestalの回顧録
Tracked: 2007-02-07 23:42