パキスタンのムシャラフ大統領の難しい立場に関しては周知の通り。
But at home, where he hopes to win election in 2007 after eight years as a self-appointed military ruler, Musharraf needs to appease Pakistan's Islamic parties to counter strong opposition from its secular ones. He also needs to keep alive the Kashmiri and Taliban insurgencies on Pakistan's borders to counter fears within military ranks that India, which has developed close ties with the Kabul government, is pressuring its smaller rival on two flanks.
それでも努力の継続は認められていたが、国際世論の風向きが悪い方向に流れてきた。
"Our triumphs in the war against terror have become advertisements of our failure," he said.
これは多少補足が必要かもしれない。原理主義はイスラムというよりアラブの問題という逃げ方をイスラム諸国がすることは多い。東南アジアもそうだし、実際北アフリカではそのような傾向がある。先のエントリで上げた中央アジアも最近までは世俗臭が強かった。西欧のリベラルな伝統から大声では話されないものの、今まで以上にイスラム地域全体に対する懐疑の目が高まっている背景がある。これが政治的に周期的な流れに過ぎないのか、長期的トレンドとして欧米の世論が硬化していくのかは考察の余地がある。
ともあれ、国際政治の構図としては以下の通りである。
Some observers suggested that in different ways, both Pakistan and India are using the terrorist threat to bolster their competing relations with the West. Just as Pakistan, the regional underdog, may be exaggerating its role as a terror-fighter, they noted, India, the aspirant to global influence, may be exaggerating its role as a victim of terror.
チェチェンでのロシアの主張などもそうであるのだが、努力する側はいくら政治的に制限された条件下で努力してもその不足を責められるが、一旦被害者と見なされた側はマクロ的に少数の被害であっても主張する事は容易いという事情もある。インドとパキスタンの人口が巨大であることを考えれば、西欧のような安定した地域を基準としてさえ一定の騒乱は発生する。まして地域の実情を考えれば論じるまでも無い。そしてインドはこの事情を良く理解していると思われる。
国民国家が成立し、民主主義の初期段階とみなされる時期ではナショナリズムが高揚し対外的に強硬な世論が形成される事がままあるのは良く知られている。この場合、危険を増大させる要因の一つは、そのアイデンティティの範囲が確定していない時である。その意味で中国はまだ専制的な体制を維持しているし、統一バネは江南の開発が進んだ近世以降は非常に強力である。しかしインドの多様性はそれよりはるかに大きく、歴史的にも現在のインドの範囲をカバーする統治は脆弱と言えるだろう。そのような政治環境では、パキスタンに対して宥和する余地はかなり少ない。
そしてこの時期での米印関係は非常に重要だ。実質的にインドに自制を促す強い政治力を持っているのは米国くらいだからである。だが現在のブッシュ政権はインドにこの地域でのフリーハンドを与えたと誤解されかねないメッセージを送っているのではないか。この点では米議会の懸念のほうが正しくないだろうか。そして米国はミャンマーに対しては強硬であること、中東地域へのフォローが大変である現実など、妙にインドに要求を出せない客観条件が揃い過ぎている。だが、成熟途上の民主主義国は、一度外交が破綻するとしばしば大胆な行動を起こすものである。その意味で、私は妙な不安を感じているのだが。