安保理の北朝鮮に関する議論は水面下で綱引きの状態だ。様々な問題が絡み合っているのだが、今回の北朝鮮問題で最も損をしたのはイランであろう。安保理決議が通りそうな流れになっている。(参照1)LA Timesのこの記事も分かりやすくていいだろう。最後のライスの言葉はシンプルだ。(参照2)
"We started out in a situation 18 months ago or so where there was no international coalition about what to do about Iran," Rice said.
この展開は日本の立場を思うと考えさせられるものがある。日本は旧来よりイランへの制裁に及び腰であり、米国では様々な形で懸念が示されている。ワシントンポストのこの記事(参照3)など端的にまとまっている。ただ憶測で語るしかない内容を扱っている関係で、ある特定の偏見が混じる可能性は否定できないが。それでも下記の表現は微妙であろうか。麻生氏自身が実際にどう言ったのかは興味深いところだ。安倍氏や谷垣氏と比較してこの問題にはやや注意深いという印象があるが、私が知らないだけかもしれない。
On Monday, Secretary of State Condoleezza Rice and Japanese Foreign Minister Taro Aso discussed the Iranian situation by telephone, agreeing to cooperate in resolving the standoff, the Japanese Foreign Ministry said in a statement.
その一方で、小泉首相がイスラエルにおいて「北朝鮮とイランの核開発は世界全体の平和にとって脅威」とのコメントを発している。(参照4)これは少し前の銀行口座凍結の報(参照5)を引き継いだものであるが(この連合に参加するというニュースでの取り扱われ方は、実質のところを示しているかもしれない)当然のことながら北朝鮮問題で厳しい決議を要求している手前、イラン問題にも同様にコミットしなければならないという現実の反映でもある。
全体として見るなら、米国と欧州諸国はイラン問題に日本を協力させることに成功し、日本は米国に加え欧州諸国の関心を集めることに成功したと言えるだろう。そしていずれの問題でも中露は妥協方向である。当面の流れとして欧州側の足並みが揃っている関係もあり(恐らくメルケル首相の尽力が大きい)イラン問題が進展するとしても、間接的に北朝鮮問題の処理も進むので日本にとっても悪くない話であろう。ともあれイランに厳しく当たらなければならず、中露の妥協を欲する欧州の事情を汲むという意味でも日本は当面強硬な主張をする必要がある。この付近の記事が冷静で適切な言い回しであろうか。(参照6)
イラン、中東問題に関して、少し長いがこのブッシュ=メルケル会談の内容はなかなか良い。(参照7)メルケル首相はリーダーとしての資質が高いのではないだろうか。ギリギリであったが、ドイツは幸運な道を選んだかもしれない。現在ドイツが安保理メンバーでないのは残念だ。サミットその他で密接な関係を築きたいところである。
まぁ、この時期のニュースを考えると、イスラエルには少々同情を禁じ得ない。日本のように実害はまだ無いミサイルの連射で安保理に決議を出せる立場は羨ましいだろう。兵士を人質に取られて犯罪者を解放しろという要求に自力で対処せねばならない。日本が同じ立場になればどうするのだろう。ただ今回は欧米の理解もあるような印象だ。たまたま今回訪問日程を組んでいた小泉首相も和平に尽力できれば良いのだが。日本に力量ある指導者がいれば調停役には向いている。
それにしても日本がイスラエルの経験から学ぶことは多い。今回も案の定民間人の被害が出てイスラエルは叩かれている。軍事作戦となれば被害者はゼロにはならないが、かといってそれを批判するなというのもまた無理筋だ。そして同じような事件が頻発すると世界はそれに慣れてしまう。イスラエルの罪の無い被害者に対する同情まで少なくなる。日本の抱える問題にいかに世界を慣らさないか、僅かな落ち度すら見せず外交を進めることが今まで以上に重要になるだろう。
記事後半のイスラエルに同情するという記述がよく理解できません。イスラエルは現在レバノンを空爆中であり、被害者はレバノン市民であると理解しています。では、また。
多くの人が書いていますが、行動というより構造そのものに問題があるという意味で悲劇です。例えば北朝鮮であれば、緊張があることそのものに存在価値を見出していますが、これはまだマシです。戦争状態そのものが継続することにより存在価値がある組織が政治的に大きな存在となっている場合は悲劇が終わりません。宥和政策が成立しませんので。
自国兵士の拉致、自爆テロなどを行う組織を掃討する事自体は正しい選択です。なぜなら、放置した場合同一の個人または組織が技術的に習熟しながら同一の行動を繰り返すからです。それを抑止するための枠組が現地政府にあればそれに協力するために耐えるという選択もありますがそれもありません。
今回のイスラエルの行動、イスラエル世論の支持はそれほどないという人もいます。しかし私はそれに懐疑的です。実際に明日殺されるかもしれない中で過ごしてきた人々の認識はそれほど甘くない気もします。ただ一ついえるのは、ヒズホラを完全解体するとか、何がしかの進歩を達成しない限りイスラエルは単なる悲劇を積み重ねるだけの主体者でしかない、ということでしょう。
あの地域で最も人道的な結果をもたらすには何が良いかというのが究極的な問いなのでしょうが、それは多くの人々の努力にもかかわらず良い手法がなかなか出てきません。ただ、それが偶然とか緊張の継続でも良いので、ある種の相対的安定が何十年か続く状態にするしか無いのは間違いありません。そのためにどうすれば良いかというのは、率直に言うと欧州や日本の知識人の意見は大半聞き流したほうがいいでしょう。
イスラエルを訪問した小泉首相は「北朝鮮とイランの核開発は国際社会への脅威である」と2カ国を並べて明言しました。
また米・英・仏は今回の決議の共同提案国であり、中・露との駆け引きの際には「世話」になりました。
こうした流れを見ると、イラン問題では日本は必然的に米・英・仏側に付く事になりそうです。政府内でも「アザデガン油田」を諦める覚悟は出来たのでしょうか?。カワセミさんは安倍官房長官が「アザデガン」に固執していた事にを若干危惧していましたよね。
大体そのような構図で間違いないと思います。安倍氏の件は、あの断片的な報道だけでは分かりませんが、やや懸念する部分もあります。小泉首相と相当密にやっているのであれば観測気球とか役割分担かもしれませんが、どうもそうでも無いように思います。小泉氏と違って外交を二国間ベースで捉える傾向がありそうです。多国間の切り回しでバランス取れるかどうかが課題でしょう。
これが麻生氏であれば、知性とかの能力面ではまず問題は無いと思いますので、内心がどうあれ調整は付けるのでしょう。
もっとも、何度もいいますが、首相職だけはやらせて見ないと分かりません。過去の大平氏、中曽根氏、宮沢氏、橋本氏、小渕氏、今回の小泉氏など、いずれも就任時に退任時の状況が予想できた人はいません。難しいものだと思います。
なぜイスラエルが国際社会から避難されるにも
関わらず今回の軍事行動にでたのか?
イスラエルという国は、周囲のアラブ諸国よりも
議会制民主主義が根付いているし、首相も選挙で
選ばれる。そんな国が、なぜ軍事行動にでる?
よ〜く考えてみよう。一面的な見方だけで考えるのは浅はかというもの。
なぜかイスラエル側の民間人の被害は無視されるんだよね〜。不思議だよ。
レバノン市民も、確かに被害者だけど・・
イスラエルにミサイル攻撃をするヒズホラを
レバノン政府は放置しているし・・
報道で映されるレバノン市民達はヒズホラを支持
していますよね。
ヒズホラの主張は「イスラエル人は死ね」でしょ!
そんな主張をするヒズホラを安易に放置したり
支持したりする。そんな国が隣にあるのでは
イスラエルだってたまったもんじゃない。
(日本で置き換えてごらんよ!)
ヒズホラのミサイルでイスラエルの民間人だって
死んでいるのはスルーですか?どうなんですか?
イスラエルからすれば、自国民にミサイル攻撃をするヒズホラを放置するわけには行かないだろうし、またヒズホラを放置したり支持したりするレバノンに対してもイスラエルは放置は出来ないのでは・・そういう事に触れずにアラブ側が被害者だとステレオタイプに考えるのはどうかと思う。