2006年06月25日

北朝鮮ミサイル危機に関する政治の風景

 北朝鮮がテポドン2ミサイルを発射するかどうかという件で関係国は気を揉んでいる。交渉カードとしての側面が強いのは最初から明白だが、北朝鮮には様々な思惑があり構図は複雑だ。この件で興味深いコラムを見つけたので紹介しておきたい。

 GLICK氏が北朝鮮問題を例にとり、イラン問題でイスラエルがどうするべきかを論じている内容だ。(参照1)3ページに渡って記載されており、ここで述べられていることはおおむね正当であると思われる。全般として、今まで間接的に米国を脅迫していたのに加え、新しく直接的に米国を脅迫していることは交渉上のメリットがあるとの解釈を取っており、個別の既存の脅威に適切に対応することがそれに対する対応として正解であるとしている。
 2ページ目の交渉上のメリットとして3種類挙げているのは面白い。政治上の弱点の利用、同盟国との関係の利用、結果的な国際政治上の認知。確かに労少なく利多しの感がある。

This week the US placed great pressure on Seoul to cancel Kim Dae Jung's visit to Pyongyang. It is not unreasonable to assume that Pyongyang took his visit into account when it timed the launch of its latest provocation. If Seoul had not bowed to US pressure and canceled the visit, North Korea could have exploited it to announce in Kim Dae Jung's presence that it was canceling its planned launch. By doing so it would have weakened the position of US officials who insist on refusing North Korea's demand for direct talks.


 それにしても金大中の訪朝は危ないところであったとしかいいようがない。さすがにこの点は米国が完全に読み切ったと思われる。本質的に北朝鮮は米朝二国間交渉で全ての利益を得ようとしており、そこから視点を外さないことが肝要だろう。

 3ページ目の、イランにとって弾道ミサイルはイスラエルに対して必須では無いという記述は、我々にとっても示唆することは多い。テポドン2は北朝鮮にとって日本に対しての必須の道具ではなく、韓国に対してはなおさらである。そしてその後の、

If Israel were to seize the initiative against Iran and its terrorist proxies in Gaza and Lebanon while preventing their deployment across from the Golan Heights and in Judea and Samaria, it would be accomplishing two goals at once. First, it would be diminishing the most immediate Iranian threat it faces today while enhancing US options for dealing with Teheran's ballistic missile arsenal and nuclear program. Second, by dealing with the Iranian threat that endangers Israel alone, Israel would be increasing international awareness of the fact that the Shihab missile program is not first and foremost a threat to Israel, in spite of Iran's attempts to portray it as such.


ここで示された文脈でも、拉致問題や化学兵器の問題を包括的に解決すると欧州で一貫して主張していた小泉政権の方針が正しいことは明白である。

 政治的な利用という点では、ミサイル防衛が政治的に重要な案件であることを前提とした方策であるという意味で、この台湾発の記事も興味深い。(参照2)

Many Asian nations would cheer if the United States shot down a long-range missile tested by North Korea, but a failure would raise unsettling questions for allies that rely on the America's military umbrella.

 現在の技術水準でミサイル防衛がうまく機能しないことは、一定以上この分野に興味がある人であれば素人でも予想が付く。が、それが今現在の段階で機能しないと全ての人にとって明白になることは、ブッシュ政権にとっての政治的ダメージになる事もまた明らかだ。撃ち落す作業を試みるかどうかという判断を下す段階でプレッシャーが発生する。このミサイル防衛を歓迎しない政治勢力は日米にもいるし、中国やロシアとなればなおさらだろう。それを考えると、ロシアのシュワロフ大統領補佐官の「発射させればいい。飛ぶかどうかも分からない」という発言(参照3)の解釈もまた変わってくる。直接的には日米などに悪い顔をしているわけでもないがロシアの国益には沿っているかもしれないのだ。
posted by カワセミ at 23:19| Comment(1) | TrackBack(3) | 北東・東南アジア
この記事へのコメント
カワセミさん、はじめまして。

>ロシアのシュワロフ大統領補佐官の「発射させればいい。飛ぶかどうかも分からない」という発言

 ロシアの国益もあるんでしょうが、単純に事実を述べたとも言えますね。GMDの最後の迎撃実験って、いつでしたっけ。ああ、去年の2月だ(http://www.mda.mil/mdalink/pdf/05news7.pdf)。発射できなかった奴。12月のは、標的ミサイルなしでしたね。飛んだけど。(http://www.mda.mil/mdalink/pdf/05news0012.pdf

 うまく機能するといいですね、SM3、PAC3。たっかい買い物だし。
Posted by harmoniker at 2006年06月30日 11:39
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