2006年05月29日

イラン核開発問題に対する米国のプラン

 イラン核開発問題は膠着し進展していない。イランは全てのウラン濃縮をロシアに移転することはしないと明言している事に関しては、ここしばらくのニュースで広く伝えられている。今は欧州諸国が強硬な態度を示している段階だが、具体的リアクションに関しては色々迷いがあるようだ。それは米国も同じだが、この記事に示されている内容は興味深い。(参照1)

 イランの政府高官の銀行口座などを調べ上げ、金銭的な自由度を縮小することに注力するというものだ。これに政府資産の凍結なども加わる。これは北朝鮮に対して行ったことがかなり効果があったと判断しての事であろう。またリビアに対しては効果があったので似たような反応を引き出せる可能性があるかもしれないと推察した面もあるだろう。またイランであれば北朝鮮問題の場合の韓国や中国のように実質的に経済制裁の効果を減殺するような国はあまり出てこないと言うことであろうか。もちろん日欧が協力すると言うことが大前提であるが。
 ここで主要国の中では日本とイタリアの打撃がもっとも大きいと予想されている。この2国は今回のイラン版6ヶ国協議に参加していない事は興味深い。個人的にはここに何らかの形で参加して、プロセスに加わった責任がある、として国内的な説得材料を準備する方向で動くべきだったと思うが。なおこの制裁は、直接には石油禁輸を含んでいないとされていることは重要である。市場でやりとりされる資金は透明度があるが、アザデガン油田などの契約金は直接政治家の懐に入ってしまうと言うことであろう。この構図はイランに限らない。市場主義者の米国はこの種の構図を常に嫌うことは意識しておいてもいいかもしれない。ちなみに欧州もこれは良くやることである。フランスなどはお家芸かもしれない。

 なおアザデガン油田の件であるが、9月に契約が終了する可能性が報じられている。(参照2)そしてこの報道内容は興味深い。これだけで判断は出来ないが、安倍氏はこの契約の推進に拘っている可能性がある。もしそうだとしたらこれは非常に危険な判断だ。日本の核拡散への反対は自国の利益が関係ないときだけだという批判がしばしばある。事実イランに対しての批判は北朝鮮に比較すると極めて少ないものである。あまりにも基準が恣意的に過ぎるのは否めない。安倍氏は北朝鮮への経済制裁も早期から唱えていたが、その制裁の効果を中国や韓国が減殺する可能性に関しては積極的に説明責任を果たしていなかったように思われる。つまり国内的なガス抜きで、小泉首相などとの役割分担かなと思っていたのだが、ひょっとしたら天然で言っていたのかもしれない。だとしたらどうかなぁと思う。米国ですら金融口座凍結の際は、韓国や中国が当面の反対は出来ないように偽札作りの動かぬ証拠を見せて回っていた経緯を考えるべきだろう。(まぁ、そういう努力も韓国は無にしようとするが・・・・・)

 積極的に日本がリアクションを取れるタイミングはあまり残ってないだろう。ただ調整作業自体はかなり続きそうなので、7〜8月付近のどこかで最終決断をするという感じか。小泉首相が訪米する時に調整はするのだろうと思うが。
posted by カワセミ at 23:15| Comment(0) | TrackBack(1) | 西南アジア・北アフリカ
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