2006年04月02日

イスラエル選挙雑感

 少し時間が経過したが、やはり一言だけでもイスラエルの選挙に関して触れておきたい。結果は英語版Wikiで早速項目まで出来ており、便利なので参照すると良いだろう。結果そのものは事前に予想されていたということもあり意外性はそれほどない。有権者のメッセージとしてはシャロン路線の追認と見て良いだろう。

 一院制で、しかも選挙制度が比例代表となると議席の分布がこうなるのは無理も無い。ただイスラエル内の政治的な多様さを考えれば、有権者の政治的な需要を満たすという必要もありやむを得ないのかもしれない。日本人のように(そして恐らくは米国人もそうだが)大まかに合意があれば大政党を作ってその中でのグループ論争という形を取るというのは気質に合わないのだろう。

 イスラエル国内のアラブ人だけでも有権者の20%近くはあり、しかも複数の政党が存在している。これは中東が本格的に民主化した際には地域や宗派でかなり小党分立の状況が見られるようになることを示唆しているものでもある。それを緩和するのは地方分権の強化と連邦の権限の限定なのだが、民主化が成熟した国家でないと難しい。現状アラブ地域は小国のほうが政治がうまくいっている傾向があるが地域の現状として今後もそうなのであろう。大国を作ると抑圧的にならざるを得ない。少なくとも現状では。

 イスラエルにしても、宗教と言う側面があるので禁欲的な主張やあるいはかなり少数の人しか支持しないような国家主義的な主張も、政党としてそこに存在するのはガス抜きの側面もあって好ましいだろう。集団国外追放という、民族浄化もどきの主張する政党もあるとはいえ・・・・もちろん、今回の選挙結果は分離壁の維持や一方的撤退といった、ある種の現状固定化による穏健路線が広く支持されたものとは言えるだろう。

 ハマスに関してだが、本当に好戦的な幹部はイスラエルに大半殺害されていると言う事情もあり、実質としては当面内政に専念するという雰囲気でもある。これは中長期的には好ましいことだろう。そこで国内の支持が固めれば、仮に将来(国内的に)妥協的と見られる政治姿勢を取る際にも、政治基盤としては強固となるからだ。補足するとアメリカが現段階で交渉しないというのも方策としては適切だ。ハマスがどの路線に転ぶにせよ、現段階で関与することのメリットは無い。むしろイスラエルや米国と対立的存在であるということを内外に示し、一定期間の膠着状態を生じさせることが今後の展開に繋がるだろう。現状、多くの人を納得させるような綺麗な解決策は無いだろう。ある種の現実を作ってそれがやむを得ないものと追認させるしかないと思われる。今回のイスラエル選挙の結果も、イスラエル国民がそれを望んだ結果のように思われるのだが。
posted by カワセミ at 17:53| Comment(0) | TrackBack(1) | 西南アジア・北アフリカ
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イスラエルも相変わらず・・。
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