2006年03月15日

米国の食品全国統一法案に思う

 米国内の話であるが、個人的にこのニュースは興味深いと感じたので取り上げてみたい。下院でNational Uniformity for Food Act of 2005が通過した。食品などに関する安全基準を連邦共通とするもので、内容はこのようなものだ。(概してこのリンク先は便利だ。アメリカウォッチャーな人には御用達か)国全体での安全性の向上を謳っているが、一方少なくとも200の州法を無効にすると議論になっている。

 背景として、これはあからさまにカリフォルニア州法のProposition65を標的にしたものだという指摘がなされている。これは周知の事実のようだ。簡単な解説をしている記事をリンクしておく(参照)。Proposition65自体は日本の製造業一般でも良く知られていて、例えば鉛が露出しているのでこの電池では表示が必要、といった具体例となり、ビジネスをいささか面倒なものにしている。(参考:参照2)この種の安全基準がある主権国家内で共通であるのは、日本人的感覚では当たり前であろう。しかし米国内では必ずしもそうでもない。そもそも文化的に許容度が違うということもあるし、時に食習慣さえ違うので実際的なのであろう。必ずしも現在政治的課題として大きい扱いではないこの時期、港湾管理の件で大モメしてる最中にこっそり通すという印象は否めない。

 BSEに関する日米摩擦の背景にしても、州ごとに違うべき、理念的には個々人で違って然るべき安全の許容基準を、ある特定の基準を強制するという政治手法への反発が米国側にある事は認識しておいたほうがいいかもしれない。日本で牛丼復活を期待している人を強権的に抑圧しているという印象もあるのだ。だからこそ規制よりは「表示」が重要であったりする。かといって健康上危険かもしれないと堂々表示してその代わり安いから選択してね、という米国内の一部のやり方は、日本人的にはなかなか付いていけないのであるが。もっとも今回のような件は、そういう理念をいささか後退させるように思える。
 もちろん、普通の日本人や欧州人(EUで安全基準を統一、というのは比較的許容される傾向はある)にとって見れば、国内でこうも違うのは勘弁して欲しいとなるであろう。しかしながら、この効率の悪さを甘受した多様性の保留こそが米国の強みや魅力でもある。その意味で個人的にはいささか残念な流れだ。伝統的な地域主義を通しても良さそうに思える。
posted by カワセミ at 00:14| Comment(0) | TrackBack(1) | 米国
この記事へのコメント
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1267816

この記事へのトラックバック

お題バトン「皇室」
Excerpt: 私のいきつけの癒し酒場(笑)、デリケートな問題のママ、megumiyazakiさんよりいただきましたお題バトン。ご指定のテーマはなんと「皇室」(大汗) 不敬にならないか心配ですが、何とかやってみたい..
Weblog: 曇りのち晴れ
Tracked: 2006-03-16 23:52