この付近の文章を、コメントを含めて読んでみて欲しい。議論としては極めてストレートなもので、現段階でインドの将来に懐疑を持ち、肩入れし過ぎるという意見はごく真っ当だと思う。私もそうだが、日本人一般の知識人もそれほど信じ切れないのではないか。
これに関しては、上記にリンクもあるこのインド側のテキストを読むとむしろ雰囲気は分かりやすいかもしれない。例えばこの付近など。
The essence of what was agreed in Washington last July was a shared understanding of our growing energy needs. In recognition of our improved ties, the United States committed itself to a series of steps to enable bilateral and international cooperation in nuclear energy.
米国としては積極的な戦略として選択したと言うより、戦略的環境を追認し、選択肢が少なくなった状況で管理することを選んだように思われる。現実問題として中国とインドのエネルギーの消費はあまりにも大きすぎる。それを緩和しなければならないが、核エネルギーの利用くらいしか即効性が無い。核兵器の問題にしても、インドに廃棄させるのがほぼ不可能な以上、関与政策を模索するしかない。また中東地域の不安定は数十年の単位で持続的と見るしかなく、パキスタンの扱いも困難である。この国に核武装を許したことが現在多くの問題を引き起こしていると思うが、今はそこで生じた問題の尻拭いをやらねばならない段階だろうか。中東の不安定はイスラムの問題ではなくアラブの問題とするべきなのに、その周辺での苦労も多すぎる。不安定な世界情勢下では安定している地域の相対的な価値は高まる。インドは自国を高く売りつけることに成功したというべきか。
日本としては、カシミール問題などを抱えているインドに深入りするのにはリスクもあり、純経済的な関係を政治家は志向すると思われる。常任理事国入りの交渉時に関係者は良く分かったと思うが、世界的な視野での外交能力にはやや問題のある国である。経済の問題としても、恐らく日本の関与がかなりの程度インドの行く末を決めるが、ここの判断は率直に言って難しい。儒教文化圏で無いので国内消費の性向も高く、中国のように過剰に輸出主導にはなりにくいであろう。しかし投資は相当地域事情を考えないとうまく行かないが、日本でそれなりの判断力を有する企業はさして多いとも思えない。良くも悪くも専制政治家を抱き込めば何とかなり、米国に「独裁者との談合は日仏の得意技」と揶揄されたような手も使えないだろう。
また、この手の政策が全部ひっくり返る可能性がある。それはAIDSと鳥インフルエンザ問題なのだが、これは簡単に予想も付かない。中国もインドも統計自体を取ることすら困難なようである。なお日本がテロの標的になるとしたら、この後者のワクチンを巡っての脅迫絡みかなと思うが、この件に関しては日米欧で世界の指導者に優先的に配るかというような話もしているようだ。
P.S
エントリと何の関係も無く一言。3/3はやはり国民の祝日とすべきでは。江戸時代ですらそうだったと聞くが。海の日と交換するべきであろう。