2006年02月01日

2006年米国大統領一般教書演説

 米国で年頭の恒例とされる、大統領の一般教書演説が行われた。内容は様々な所で公開されているが、今回ホワイトハウスが内容の補足まで含めてかなりの情報を挙げている。まずは全文のリンクを参照してほしいが、ここの上のほうにある各ページへのリンクは見ておくべきであろう。米国政治は日本以上に公式に発表された一次情報が重要であるが、これはその典型といえる。読めばいいだけの話で私が何を補足するものでもないが、軽く感想くらいは述べてみたい。

 一般教書の演説そのものに関しては国内の報道で要点が紹介されている。しかしどうにも適切と思えるものが無い。ここで重要なのは、演説内容そのものもそうであるが、それをとりまく英語表現の雰囲気とか、ある種の理想主義の体現の部分のように思われる。核心部分をとりまく建前の部分にかなり本質的な内容が入っているのである。日本などではしばしば左派勢力が美辞麗句と貶めるが、もちろん米国政治に関してはそうではない。そして今回の演説自体は、細部をかなり詰めてあるという印象がある。以前全文を紹介したイラク政策に関するものもそうであるが、あくまで直球で攻めて来ている印象が強い。米国ではこれは効くなと思う。例えばこの部分だ。またYetかと言う人もいるかもしれないが。

Our coalition has learned from our experience in Iraq. We've adjusted our military tactics and changed our approach to reconstruction. Along the way, we have benefitted from responsible criticism and counsel offered by members of Congress of both parties. In the coming year, I will continue to reach out and seek your good advice. Yet, there is a difference between responsible criticism that aims for success, and defeatism that refuses to acknowledge anything but failure. (Applause.) Hindsight alone is not wisdom, and second-guessing is not a strategy.


 これなどはアメリカ人向け殺し文句とでも言うべきか。

And tonight I ask for yours. Together, let us protect our country, support the men and women who defend us, and lead this world toward freedom.


 全体としては、イラクと対テロ戦で多くが占められているが、それ以外の部分もなかなか目を引く。アフリカに言及しているのは近年の関与の深さの反映であろう。また何だかんだと言いながらも米国経済が成長しているのは追い風だろう。雇用をこのような言い方で表現するとアピールするなと思う。我々は凹むが。

In the last two-and-a-half years, America has created 4.6 million new jobs -- more than Japan and the European Union combined.


 ベビーブーマーの引退、ヘルスケアなどの問題は日本同様だ。政治的には重い課題になっている。ヘルスケアは、日本はまだうまくやっているほうだろう。そしてエネルギー問題に広く言及したのはやはり目を引く、上で紹介したリンク先で、もう少し詳しく記述されている。(参照)以前紹介したForeign Affairsの論文(参照2)があるが、そのような炭素固定に関する技術などにもコストをかけるようだ。

 またいつもの事だが、米国は他国の成功を取り入れることに長けているなとつくづく思う。日本を例に取れば、かつて有色人種で唯一の工業化に成功したと誇ったが、国内的な法制度上の人種差別の抑止は、恐らく米国が世界で一番進んでいる。真珠湾の教訓からの空母運用は言うまでも無く、また経済面からの発言力強化を狙った80年代の日本の試みも米国の金融ビジネスの洗練化という形で返ってきた。今度はエネルギー・環境問題に関する日本の個々の技術の洗練が、大規模なシステムの統合された運用による効率化という形でやられそうな気がしなくもない。21世紀半ばには二酸化炭素排出量は激減するという予想が以前からあったと思うが、さてどこだったか。中国とインドの経済成長が鈍化すれば一息つけるかもしれない。

 演説の最後のほうには、このような表現がある。これは日本人があまり信じられない事なのかもしれない。だが、私はこのような表現は正しいと思うし、多くの人が正面から受け止めて良いものだと思っている。その後に記述される具体例は説得力がある。そして我々日本人も、昨年の9月11日のように実は何かを選んできたはずだ。その多くはアメリカのように大声で成されたものではなく、静かな選択であったろうけども。

We see great changes in science and commerce that will influence all our lives. Sometimes it can seem that history is turning in a wide arc, toward an unknown shore. Yet the destination of history is determined by human action, and every great movement of history comes to a point of choosing.
posted by カワセミ at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 米国
この記事へのコメント
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1267805

この記事へのトラックバック