2006年01月23日

フランス大統領の核に対する発言

 フランスのシラク大統領が自国の潜水艦基地における演説で、フランスへの攻撃に対しては核報復もあり得るとの発言を行い、物議を醸している。日本での扱いは小さいが、欧州ではそこそこのインパクトを示しているようだ。

 発言自体は、潜水艦基地でなされた事もあり、抑止力の維持を強調するという側面もあろう。ちなみに客観報道として、ワシントンポストの記事をリンクしておく。(参照)そして、ここではイランなどを念頭に置いた発言ではないかと言われている。しかし欧州世論は概して批判的で、有益な意味を見出せないという意見も多いようだ。(参照2)
 しかしながら、この発言自体はもう少し普通に考えるべきだろう。ここで言及しているのはテロ組織ではなく国であることがポイントだ。良く知られている事例だとサラエボ事件あたりだろうか。オーストリア皇太子は暗殺されたが、これはテロ組織ブラックハンドが背後にある。同組織はセルビア人将校を中心として構成されており、解釈は今に至っても論争になるが、まずは実質国家テロだとして良いだろう。そして今回のシラク大統領の発言、このような事例も含めて国家の責を問うという文脈だろう。もちろん近年では北朝鮮も同じとして良いだろう。

 口が腐っても公然と言えない話だが、フランスの核兵器が中東やアルジェリアなどの北アフリカ諸国を意識していることは間違いない。また公式発言として、核戦略が必ずしも確固とした文脈で語られない。フランスは新しい時代における核戦略を模索中・・・と曖昧な発言が過去に多かったのは本当のことを言えないこともある。また直接の軍事対決で勝ち目がない国がこの種のテロを利用した恫喝に走ることは、欧州人は良く知っている。そういう誘惑を国の指導者層が持つ事を抑止するというのも必要だ。そのようなこともあって欧州諸国は今でも軒並みNATOに加盟するのだし、少し距離を起きたいフランスは、どうしても様々な局面で自国独自の牽制が必要だ。だからこそ西アフリカでの乱暴な行動があったり、この種の発言となる。それが立派だとは全く思わないが、非文明的な現状に対する現実解と考えておくべきだろう。

 イランに対する牽制も当然あるだろうが、これに関しては残念ながら効果がないだろう。対イランで有効なカードがあるとすれば、恐らく本格的な石油輸出の禁止しかないだろう。また中国の説得に労力を費やすことになるが。
posted by カワセミ at 21:00| Comment(0) | TrackBack(1) | カナダ・欧州・ロシア
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