2005年12月15日

EU加盟は先送りとなったマケドニア

 東欧へのEU拡大はかなり進展したが、マケドニアの加盟交渉にフランスが慎重な姿勢を示したと報じられている。(参照)マケドニア自体は人口200万程度の国で、それ自体の問題は大きいわけではない。むしろウクライナへの思惑から割を食ったという印象もある。もっとも、様々な思惑が交錯するややこしい地域である。自分が何を書けるわけでも無いが微妙にメモ書きを残しておきたい。ちょっともやもやとした思いがある。

 小国を取り上げる際に便利なので、今回も外務省サイトをリンクしておく。(参照2)旧ユーゴから分裂したマケドニア共和国は、古来マケドニアと言われた領域を全て領有しているわけではない。独立時に内戦は回避したものの、ギリシャとかなり揉めた。曰、マケドニアはそもそもギリシャ人の国である、そのような名称を使う事はまかりならんと。古代ギリシャはマケドニアをバルバロイ視していたような気がするが、そういう問題ではないらしい。むしろもっと最近(といっても充分昔だが)、サン・ステファノ条約のあたりの経緯が問題だ。一応Wikipediaの項目をリンクしておくが、当然いくらでもまともな本があるので読むべきだろう。この条約をひっくり返された関係国の怨念は相当なもので、数十年後全世界がそのツケを払うことになる。セルビアだけの話でも大変な地域なのだが。そんな事もあり、旧ユーゴ紛争時のギリシャの態度は、マケドニア共和国がギリシャ領マケドニアまで含めた国境変更まで目指しているのではないかという疑心暗鬼すら表明することがあったようだ。(もっともこの手のギリシャの自意識過剰な発言はEU内では有名で、いつもの事と割り引く必要がある)その種の摩擦はいつでも再燃する可能性はあるが、EUのメリットには様々な国際問題の棚上げということもある。もう少し治安が改善したら加盟の方向には動くのだろうが。

 欧州人に欧州の範囲はどこまでかと聞くと、バルト三国あたりは無条件で入る。問題はこのバルカン付近だ。内心嫌と思っていることが多く、それが国や人によって違う。欧州の闇の部分とでもいうべきか。日本人の我々には、彼らがあからさまに口にはしない皮膚感覚での嫌悪感はなかなか分からない。これが北アフリカ諸国となればまだしもの割り切りがあるし、日本人が朝鮮半島や中国に対するときも所詮は外国という認識があり救いになっている。しかし、中途半端な身内意識で一定の義務感を抱いた時に問題は深刻になる。ただ、日本人がその付近を多少理解したとしても、外交上それに迎合して話を合わせる必要は無いと思われる。それは彼らの心ひそかな部外者への期待を裏切るからだ。
 旧ユーゴ紛争への欧米の対応は今でも高い評価ではない。しかし真の悲劇は、大声では言いにくいが、欧州人が要求水準を高くし過ぎた事ではないだろうか。特に、北海沿岸諸国あたりが。オランダなどは頭から冷水をかぶったようなものだろう。その反動が昨今及んでいるという印象もある。それは昔から何度もあった風景だ。今までに教訓は嫌というほどあるはずなのだが。
posted by カワセミ at 01:00| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ・欧州・ロシア
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