2005年10月26日

韓国の戦時作戦統制権返還問題について

 米韓同盟が危機に瀕していると言われている。とはいうものの、簡単に崩壊するという考えに私は与しない。以前に記述したエントリ(参照)があるが、私の考え方としては今も変わっていない。しかしながら、それから事態が好転しているというわけでもなく、中にはまずい経過を辿っているテーマもある。その典型がこの戦時作戦統制権返還問題である。
 これは極東ブログさんの方で扱われているエントリ(参照2)もあり、そちらも目を通して欲しい。ただこの韓国の要求は、他の米国の同盟関係や様々な作戦時の多国籍軍の状況と比較するといかにも唐突な感が否めない。いつもの自己主張の現れとも見れるが、これは他の問題と違いとても危ない話なのだ。そもそも同盟国の要求する内容ではない。説明が難しいのだが、なかなか良い資料(参照3)があったのでそれを使わせてもらう。いつものことながら手抜きだ(苦笑)

 これを見ると、指揮の下に作戦統制と戦術統制がある。そして戦術統制は、編成後の部隊に対する指示であり、これは同一の作戦区域で行動する限りにおいては、何があっても統一しなければならない性質のものである。この資料ではコソヴォに展開する部隊においてロシアは戦術統制しか受けないと記されている、逆に言えば、ロシアとNATOくらいの関係の場合においてすら(いくらロシアが準加盟国扱いとは言え)戦術統制は必須なのだ。理由は簡単で、そうでないと犠牲が増えるだけだからだ。
 そして作戦統制だ。これは司令部及び部隊の組織化が含まれているというのがポイントだろう。多国籍の混成部隊を編成する権限もあると考えるとイメージが湧きやすいだろうか。これが共同軍事行動ということで、同盟の意味である。海上で日本のイージス艦が米空母を護衛するなども具体例と言ってよいだろう。この権限を独立して持つと韓国は主張しているのである。これが何を意味するかというと、同一の地域で共同作戦は行わないということだ。同盟国でそれが成立するとなれば、それは全く違う地域で個別に活動している場合だ。例えば二度の世界大戦の欧州における対独東部戦線と西部戦線などが例だろうか。まさにせいぜいその程度のものだ。ちなみに両戦線で戦術統制を受けなかった部隊はあっさり壊滅するか良くて何の役にも立たないという結果だった。それがこの作戦統制−戦術統制の現代的な階層化の概念に結び付いていったのだろう。

 つまり、戦時の作戦統制権を独立して持つというのは、その地域における作戦を終始責任を持って最初から最後まで自力でまかなうという事だ。少なくともそれが国際常識だ。米国は当然そう解釈する。もっともこれは韓国のいつもの錯乱として主張されているのかも知れず、それで国民の生死まで左右されかねないとなれば、それは政治の恐るべき責任放棄でしかない。そして北朝鮮はこれをどう解釈するのだろうか。

 以前のエントリで、米国は教師の国と書いた。これは奇妙に今回の事態に符合する。米国は粘り強い指導を行う国だが、それは生徒が教室にいての話だ。自力でやると教室を出て行く生徒を探しに出かけることは無い(日本的感覚であると少し違うのだろうが)まして授業を妨害すると容赦なく叩き出すのが彼らの文化だ。韓国はそれを理解しているのだろうか。現状を見るに、さして覚悟あるわけでもなく、いざとなったら泣き付くだけのようにも見える。だがこれは、一度事態を動かすと簡単に回復できない問題かもしれないのだ。
posted by カワセミ at 22:18| Comment(0) | TrackBack(1) | 北東・東南アジア
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