2005年08月01日

南部アフリカ諸国との経済関係の可能性

 近年、日本から中国への投資が減退気味のようだ。実のところ、中国が日本に求める投資は今程度のものではなく、少なくとも数倍、十倍以上といった規模なのだろう。ただそれは達成不可能な数字で終わりそうだ。個別企業はともかく、業界とかの単位で見ればリスク分散化の傾向がやや出てきているかもしれない。
 そして日本のような経済大国の動向は世界的に影響が大きい。だったらうちにと秋波を送る国は多く、例えばベトナムなどは相当入れ込んでいるようだ。そして今日もこのようなニュースが報じられていた。南部アフリカ関税同盟諸国からの、将来のFTAを目標としたEPAの申し出だ。これは検討に値するのではないだろうか。

 具体的な同盟諸国の顔ぶれは、南アフリカ共和国、ボツワナ、ナミビア、レソト、スワジランドといったところだ。この付近の国に関しては日本人には馴染みが薄いかもしれない。まずは外務省のページで基礎情報を確認するのがいいだろう。同ページのレソトの選挙監視の話などもなかなか興味深いものであった。
 南アフリカ共和国がこの地域の中心であることは間違いないが、ボツワナ、そして独立後それほど年月が経っているわけではないナミビアも経済データが意外に高い数字を示していると感じる人は多いのではなかろうか。南アとの関係や欧州諸国の継続的な関与によりアフリカ諸国では比較的恵まれたほうだろう。ボツワナでは一人当たりGDPは$3,000に達している。(南アより高い)もっともそれ故にAIDSの蔓延はより悲劇的な色彩を帯びているし、ジンバブエのムガベの政治も「本来ずっとましなはずの国なのに」という前提の元での悪評ではある。その意味で米国がジンバブエを圧政国家の見本に挙げたのは、期待して良い水準に対して極めて低いということで誠に適切ではある。もちろんベラルーシもそうで、この付近は欧米的な価値観からすると当たり前に言及しただけだろう。

 この南部アフリカ諸国であるが、識字率も相当高い。手元の百科事典だと2003年推計で南ア、ナミビアで男女とも85%前後、ボツワナで80%前後の数字が確認される。特にナミビアは私の認識が足りなかったのか非常に高いと感じた。海に面すると言う事はそれほど経済や社会に有利なのかと思ったりもする。ちなみに牧畜との関係で女性のほうが識字率が高い傾向があるのは面白い。またキリスト教の普及地域でもあり、欧米人のみならず日本人もややコミュニケーションが取りやすいようだ。ものの考え方の馴染みがあるのだろうか。もちろん地域によっては日本人の想像の及ばない大変さだ。スワジランドで報告される内容に関しては、裏付けを確認しないと言及するのがためらわれるものがある。

 輸出産業に関しては鉱産資源が有名だが、近年はここでも繊維関係が重要なようだ。女性の識字率の高さなどを考えても、軽工業の類は成立余地が大きいのかもしれない。牧畜が盛んなことから、羊毛製品の伝統はあるようだが。
 また、貿易による最終消費地を欧米とすれば有利な側面はある。海路が重要なのだが、その場合は中国などよりよほど条件がいい。日本に輸入する品目に関しては引き続きアジア近隣諸国が有効だが、少なからず欧米への迂回貿易の形を取っている工業品目に関しては検討の余地があるだろう。特に自動車は有利だ。南アは実は自動車産業の歴史もある。やや熟練した労働力も確保できるかもしれない。そして欧州諸国は、アフリカ諸国への植民地経営の経緯からやや贖罪的な側面もこめて貿易面での優遇措置を取っている。(この付近、日本のアジア政策ともやや共通点がある)欧米諸国からの非難はかなりの期間かわせるだろう。「ではアフリカの雇用をどうするのか」の反論で済む。何と言ってもアフリカへの援助は、産業の振興こそが最も肝要なのだ。ただ与えるだけの援助は長続きもしないしその場だけのものだ。それはアフリカの中でも先進地域たる南部アフリカを振り出しにしないと成立しないのではないか。
posted by カワセミ at 21:31| Comment(0) | TrackBack(2) | サハラ以南アフリカ
この記事へのコメント
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/1267747

この記事へのトラックバック

ドル高修正アジア株高
Excerpt: 欧州で比較的良い経済指標が連続して出たことに加えアメリカ株が不調で新興国はじめ世界の他の株式市場が堅調で昨日も日本が反落したがアジア株全面高HF等の資金がドル売りに繋がっている面があるようです サウジ..
Weblog: Star Prince JUGEM
Tracked: 2005-08-03 03:49

次なるターゲットはアフリカ!?
Excerpt: 近年、中国、そしてインドの経済成長、国際的大企業の進出が目覚しいですが、すでに飽...
Weblog: Financial Journal
Tracked: 2007-01-14 00:17