2005年07月19日

欧州議会の北方領土問題に対する反応

 欧州議会が、ロシアに日本への北方領土返還を勧告する決議を出したと話題になっている。個人的には欧州のこの反応はかなり意外だった。というのは、以前サミットで冷淡極まりない対応を受けていたからだ。以前のエントリにも多少関係することを書いたので、興味ある方は参照して欲しい。
 決議の内容自体はこのようなものらしい。アジア地域全般に関しての安全保障問題を憂慮し、解決を促す内容だ。これ自体は理念的なものに過ぎない。しかし、尖閣諸島などの抽象的な記述に対して、この問題で返還を明確に記述しているのは面白い。もちろん日本にとっては追い風としても、これは日本向けというよりロシア向けメッセージではないか。
 欧州議会の勢力図はこの通りである。(参照)保守政党がトップではあるが、全般として革新系が強い印象がある。冷戦後の欧州のリベラルな安全保障観がロシアに関するネガティブな反応を引き起こしたのかもしれない。ただ領土問題でもめているバルト諸国あたりの嫌がらせと見れなくも無い。(当然欧州議会には席を占めている。そして欧州議会の特質として小国への議席配分は多めだ)日本の北方領土問題が解決すればラトビアだって、という流れを狙っているのかもしれない。ただ欧州においては、関係諸国ならずとも対露ということになればこの種の決議を出す政治的な下地はあるように思われる。いずれにせよ最近のプーチン大統領の外交上の政治的失点は大きい。今後この種の現象はしばしば発生するかもしれない。
 そしてロシアの反応も面白い。実はロシアにとっては(軍事力とはあまり関係なく)欧州各国の政治的なスタンスはかなり影響力が大きい。日本に対してアメリカの影響が大きいのと少し似ている感もある。反発しながらも文化的な浸透力はかなりあるのだ。案の定こちらのブログによるとこんなメッセージを出しているらしい。彼らは、「欧州がこんなメッセージを出したからには日本は政治的正当性が大きく強化されたと大喜びだろう」と思っているのだ。しかし日本の反応はいかにも鈍い。ここで「平和を望む欧州市民代表の決議に敬意を表する。現在該当の領土に在住しているロシア人には、日本が○○法でかねてから示しているように人道的な対応を行う。この問題は民主主義国同士の成熟した政治により平和的に解決される」とでもコメントして欲しいものだ。もちろん日本は、こういうチャンスを生かすための領土返還時に適用する立法をまだ行ってはいない。
posted by カワセミ at 23:32| Comment(1) | TrackBack(3) | カナダ・欧州・ロシア
この記事へのコメント
スローガンとはうらはらに
「北方領土なぞ負担になりこそすれ、返してもらっても困る」
というのが日本の本音であるか、と思います。

難癖つけにはもって来いの材料だ、と。
Posted by ペパロニ at 2005年07月21日 08:54
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