2005年05月28日

台湾問題に関する懸念

 現在の台湾は、国家統治の実情からして実質的に独立国と言えるだろう。しかしながら正式にそうなれない理由は誰もが知っている通りである。この問題に関する対応はなかなか悩ましい。関係国の思惑が交錯して、互いに誤解が発生する可能性が高いからだ。
 中国側は普通に疑心暗鬼だろう。台湾の独立を裏で日米が援護しようとしているのではないか、と。戦前の日本で対欧米に悪意のある誤解をしていたのと同様だ。ある意味分かりやすい。
 ここで米国側の意見がなかなか興味深い。確かForeign Affairsあたりと記憶していたのだが、専門家の意見で「ほとんど台湾側に非のある形で紛争が発生したとしても米国は政治的に関与しないわけには行かないだろう」というような内容だった。これは的確な分析である。
 台湾側の認識や行動もなかなか微妙だ。ある意味では「米国は我々を助けないわけには行かないだろう」とタカをくくっている面がある。専制政治の侵略に晒された民主主義国の危機を放置するわけにはいかないだろうと。だから極めて深刻な自国の危機であっても、防衛努力はそれほどしていない。そしてこの認識自体は恐らく正しいのが米国側の苛立ちを招いている。
 日本人にはピンときにくいかもしれないが、米国の武器輸出方針は欧州のそれと違い無原則ではない。敵味方を峻別し、条件の適合した国しか販売することは無い。技術流出に至っては極めて厳格で、ブラックボックス部分を開けると外交上大変なことになる。武器が第三国に流出するのも決して容認しない。世界で最も入手が難しいのは日本製の武器としても、恐らくその次に困難なのではないか。そして台湾への武器供与を認めているのは米国側としてみれば大変な特別扱いという認識だ。にもかかわらず、国防にそれほど予算をかけようとしない台湾の現実を見ると防衛努力を怠っているようにしか見えないだろう。この付近のギャップから摩擦が発生し、米台間が一見疎遠になる瞬間は無いわけではないだろう。で、中国が「今しかチャンスが無い」と思ったらどうだろうか。そう、戦争というものはこうやって起こる。「今なら勝てる」「先手を打たないとやられる」のどちらかだ。長期目標を立てて、じわじわ侵略というのは案外無いものなのだ。
 さすがに米国はこういう事を良く分かっているのか、仮想敵国との対話チャンネルはいつも充実させてある。冷戦時代、極めて初期から核兵器の誤使用を防ぐためにソ連と話し合っていたことが思い出される。もっとも一部の人間に言わせれば「米ソが談合で世界支配をするため」であった。現在でも米中蜜月と同様の主張をする人がいるが、いつものように誤りであろう。
posted by カワセミ at 23:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 北東・東南アジア
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