2005年05月06日

米韓同盟の行方

 米韓同盟が危機に瀕していると言われる。確かにその通りだろう。米国の政治家は韓国に不快感を隠そうとしない。しかしすぐに崩壊すると考えるのも的外れだろう。一部予想も含める形になるが、私の考えを記しておく。
 米国は世界中に様々な同盟国を抱えており、重要度も関与の度合いも様々である。その中で韓国は比較的大規模な軍を駐留させており、深く関与しているといえる。朝鮮戦争のいきさつもあるが、近年を除けば地域の安定に資する所大であったろう。それは米国の世界戦略の一環としてのものではあるが、大前提として韓国自身が望んだものであるという事実を忘れてはならない。
 世界に民主主義を名乗る国は多数あるが、その成熟度、政治的水準は様々である。自由選挙で選ばれても専制政治の独裁者もどきになっている国もある。では何を指標と考えると良いか?これは議会の権威という事に尽きる。議会に良質な議員が多く、知的かつ創造的に活動を行い、その決定に重みがある国が民主主義の成熟度が高いと言える。王制が残るイギリスも民主主義国の代表格であるのは強力な議会がその大きな理由である。立憲君主制で一向に構わないのだ。多くの欧州諸国、米国も議会の権威は重い。余談だが欧州でEUが民主主義の敵扱いされることがあるのは、この議会の発言権がEU官僚に奪われるからだということでもある。

 また全ての国の外交が、自国の国内的価値観から出発するが、当然米国も例外ではあり得ない。米国は相手国の議会の決定がその国の「公式な意思」と考える。民主主義国は常に国内の意見が多様であるが、日本のようなやや特殊なコンセンサス社会を持つ国でもない限り、システムとして決定を出す議会の公式な決定が極めて重要なのである。(その意味で、相手国の議会を重視しない80年代の日本は確かに民主主義国として未熟であったし、近年はかなり成熟してきたとは言える)この基準は様々な局面で適用される。1991年にフィリピンから米国が撤退した際はフィリピン上院の決定を受けてのことだし、イラク戦争でトルコが陸軍の国内通過を認めなかった際も、米国は非常に反発したが、議会の決定であるから結局は尊重したのである。蛇足だが付け加えると、ここで米国の国防総省筋や軍関係者の個別の発言が色々とあっても過大に評価すべきでない。これは政治の問題で、両国の政治家の「公式の発言」こそが重みを持つのである。
 そして韓国の場合はどうであろうか?確かに問題が無いわけではない。というより山のようにある。しかし韓国議会が米韓同盟の破棄を「公式に議決して要求」するだろうか?むしろ抑止力の維持を求めるだろう。そして米国はこのような身勝手な同盟国を世界中に抱えており、これで破棄ならサウジやパキスタンなどとっくに破綻しているとも言える。日本と米国の関係に至っては多少の摩擦はあっても最も安定している部類だろう。
 それに米国の国内政治での位置付けはどうだろうか?やや乱暴だが分かりやすい比喩を用いると日本は優秀な学生の国で米国は優秀な教師、少なくともそうあろうとする国である。学生が自分より成績の劣る別の学生に冷淡であるのは当然だが、教師としては自分の指導力不足ではないかという懐疑が付きまとう。そして自由の拡大を標榜する現在の米国では、例え同盟相手国にかなりの非があったとしても、同盟の破綻は大きな政治的失敗の一つとして認識されるのではないだろうか。義務を積極的に果たしていないくらいでは弱く、深刻な裏切りが無い限り米韓同盟は継続するだろう。
posted by カワセミ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(1) | 北東・東南アジア
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