2005年04月26日

EUと中国の繊維産業貿易摩擦

 ここを読んでいる人に紹介の要も無いと思うが、私も良く拝見している溜池通信さんの昨日のDiaryはなかなか興味深いものであった。米国の繊維産業の対中国の反発がかなり強いようであると。反日デモが微妙なバランスを崩した可能性は確かにあるだろう。先日のトヨタのGMへの協力云々という、ちょっと聞くとなぜ競合他社にそれほどまで、と思われる奇妙さもその背景が分かる気がする。
 さて、この繊維産業というのは、歴史的に貿易摩擦が発生しやすい品目である。今日の日本は産業が高度化しており、競争力自体が確保できないのでかなり昔に国内産業を諦めてしまったような業種である。しかし明治時代などこれが米国との間でかなりの摩擦を起こしていた。ちなみにこの時も輸出ばかりせず内需拡大しろと言われていたのには苦笑するしかない。
 今回のこの米国の反応、国内事情のみならずEUとの協調を考えたフシがある。EUは現在セーフガード発動直前の情勢で、米国と比較してもより強硬姿勢と見られる。中国に融和的なのに、やはり東欧諸国のフォローで大変かと思っていたが、どうも北アフリカ諸国との関係がより大事なようだ。確かに考えてみると当然である。少し古いがこういう資料がある。(参照)表1のRCA指数などを見ると、正直私が何となく思っていたよりはずっと数字が大きく、チュニジアに至っては繊維関連で全輸出額の3割以上となり飛び抜けてトップの部門である。(参照)この付近の諸国の経済情勢はEUへの流入の度合いとも直結し、その方面でのEUの余裕は近年まるで無い。今後ウクライナ等も控えており、近隣諸国の経済を安定化させるのは焦眉の急である。これでは簡単に中国に妥協できる情勢ではなかろう。この付近の感覚は日本人が忘れてしまった内容ではある。
 アジア諸国は概して外交を二国間ベースで考え、世界的視野に欠けるきらいがあるが、この問題などは典型だろう。日本くらいになるとそろそろ貿易摩擦にも慣れてきて少しずつ勘所も分かってきてるのだが、中国はまだまだこれからというところか。
posted by カワセミ at 21:44| Comment(0) | TrackBack(2) | 世界情勢一般
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Weblog: 為替王
Tracked: 2005-05-02 07:14

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