2005年04月17日

中国の反日デモに思うこと(2)

 反日デモの報道は相変わらず扱いが大きい。自分としてはだからどうした、であるが、この感覚が特殊なのだろうか。前回でのエントリでも書いたがもうちょっと独り言を呟いて見る。
 しばしば拝見しているこちらのブログで「幕があがった」という表現をされている。それ自体はなかなか的確な表現とも思えるが、何か歴史の節目的な??近年だと例えば東欧の民主化ドミノなどがそうであろうか??重大な事が持ち上がったと言っている印象を受ける。確かに上海という時点で私もやや意外とは思った。しかしこれとても外部からの人間が主力をなしたようではある。そして自分としては、これで中国の経済が海外からの投資減などの影響で不調となればそれは中国にとって大変な事であろうが、日本にとってはそれほどどうという事も無い話ではないだろうか。もちろん短期的には、例えば邦人に危害が加えられたりすればそれは怪しからん事ではあるし、ニュースとしてもインパクトを持って伝えられるであろう。しかし、例えばこれが中東やアフリカで発生して日本人の安全や資産に問題が発生したとなれば、日本人はどう反応するのであろうか。恐らく「そんな危険な場所になぜろくに調査もせず出て行った」として当該企業や政府の対応の未熟さを非難する声が主流となるのではないだろうか。そしてそれは、恐らく日本人の持つ対外意識や安全保障に関する自然な反応なのであろう。
 「同じアジアとして恥ずかしい」的反応もあるようだ。これもまた良く分からない。セルビアが妙な事をやらかしたとしてフランス人が「同じヨーロッパ人として恥ずかしい」と言うと日本人は違和感を感じないのだろうか。もっともイギリスは「セルビアの山猿・・・」みたいな表現をした伊藤博文に「それでもヨーロッパには違いない」と答えたらしい。それで伊藤が日英同盟より日露同盟に傾いたかどうかは知る由も無いが。近年のユーゴ紛争もヨーロッパでの人道問題だから許さないという論理だったようだ。いずれにせよ国民国家というものの単位を考えると、この付近の基準の取り方は日欧ともに妙ではある。特に日本の場合はもっと徹底した割り切りが必要であろう。
 思うに、中国が未来の超大国的な予想をしていた人が結構騒いでいるのではないだろうか。中国経済の外資主導の実態を見ると未来永劫日本を抜くことなど無さそうに思えるのだが。そして今回、日本の大企業で中国に投資をしていた所に影響が大きく、広告などで報道にも繋がりが深いから国内報道が大きくなった面もあるのではないだろうか。構図としては、例えば国内の個別企業の盛衰に一喜一憂する知識人やエリート層と、そんな事もあるだろうと冷めている一般庶民との認識の落差がそれに近いようにも思う。それとも私の今回のデモへの反応は冷淡に過ぎるのだろうか。
posted by カワセミ at 17:36| Comment(2) | TrackBack(0) | 北東・東南アジア
この記事へのコメント
こんにちは。カワセミさんのように真面目で淡々とした文章は嫌いではないので時々拝見してます。でも今回、中国の反日暴動と、東欧やアフリカの政情不安定を同一視して比較なさったのには、ちょっと違和感を感じました。

日本にとって、中国の暴動は、東欧やアフリカの政情不安定と全く異なります。
中国の国土/人口規模が、mass(塊)として持つ世界的なインパクト、日本と国境を接する隣国であるという、安全保障上の違いは言うまでもありません。

しかし最大の違いは、中国の暴動の場合、中国が、明確に日本と日本人を標的にして教育や対外反日宣伝活動を続けている事の一環、だということでしょう。

東欧やアフリカは、政情不安定の場合でも、国家として、日本を標的にしてはいません。よって「冷淡」でも大丈夫でしょうが、中国の場合、日本は(嫌でも)中国が、からむ事に決めた、もう一方の当事者なのです。

最初に、それを直視しないと、その後に続く日本の戦術や戦略が、生まれなくなってしまいます。
Posted by 海外散歩人 at 2005年04月20日 13:37
海外散歩人さん、コメント有難うございます。

文章を読み返してみましたが、確かにそう取れる内容かもしれません。もう少し細かく書いておくべきだったでしょう。少し補足します。
その前のエントリで、旧宗主国に対する反発は珍しいものではないと書きましたが、その付近が考え方の核になります。アフリカや中東に対するように、というのは、欧州がアフリカや中東に対するように、という側面と、変な思い入れをせずに客観的に対処しろという双方の意味をこめたつもりでした。
フランスはといえば、今日書いたエントリのようにアルジェリアに屈折するようなこともありますが、自国に対する羨望の裏返しだと傲慢にも淡々と過ごしており、自国民保護だけは軍隊を出して解決するという分かりやすい対応です。日本は軍隊を出すわけには行かないので大変ですが、ある種のルーチンワークでいいように思います。

中国絡みとしてもイギリスは事あるごとに阿片戦争の嫌味を言われているわけですし、アフリカなどはこの半世紀の「植民地から独立した後」の惨状の大半の原因が植民地支配となってますし、トルコはアルメニア人虐殺をまだ言われています。自国だけ何故いつまでもと拗ねずに、淡々と日々を過ごせばいいだけの話でしょう。

余談ですが、中国がこういうことを言うのは、対欧米で日本を悪く言う唯一の理由付けが第二次世界大戦のそれであるからでしょう。(特に独仏あたりのアジアへの影響力は案外大きい)今回それがうまくいかなかったのが幕引きに動いている理由の一つでしょうね。日本の対応は、地味ながら欧米に説明しまくることが最優先と思います。良くも悪くも世界の言論の中心ではあるので。そしてアジア政策はG7経由が一番うまくいきます。日本のみならず米英仏独どこも抜け駆けするたびに失敗してるように思えます。
Posted by カワセミ at 2005年04月20日 22:16
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